例えお前が使命も自分自身をも何もかもすべてを忘れたとしても、私が覚えといてやろう。
幾千の出会いと別れを繰り返したとしても
突然、言われた言葉により若い男は目を見開き心底驚いた。なぜならそんな事を絶対に言うはずもない初老の男に言われたのだ。
何もない白い空間の中存在するのは二人分の命。そんな中、黒髪の少年が驚いたようにと心配をするような声で金髪の老人にしゃべる。
「!?一体どうしたんだ。あんた何か悪いもんでも食ったのか?」
「・・・・・・・失礼だ。第一ここに食べ物など元々存在しないだろう。まして我々に空腹を感じることなどない。」
「わかってるよ!ただ・・・・・・なんで突然そんなこと・・・・・・・・」
「理由はもう分かっているだろう。あともう少しでお前は赤子に戻り記憶を全て無くす。」
「そしてあんたは・・・・・・・・。」
「永い眠りにつくだろうな。」
「・・・・・・そう・・・・・だよな。」
「なんだ、寂しいのか。」
「寂しくないって言ったら嘘になる。だってさ俺たちって一緒に生まれてきたのに片方が記憶を忘れてもう片方が覚えている。なんかそんなの嫌だ。」
だってそうだろう。今までずっと二人だけだった。形があり意思を持つ管理レムナントはたった二人。
なのにそのたった二人のもう片方が消えるなんて嫌なんだ。
離れたくない。
忘れたくない。
ずっと一緒にいたい。
・・・・・・なのに。
「だが必然なのだ。全てを受け入れるしかない。使命を果たすためにも」
こいつはなんで平然といられるのだろう。
俺は嫌なのに。使命とかレムナントとか・・・・分かってるしょうがない事って。
でも・・・・・。
でもっっ・・・・!!
「っっ何で!!何であんたは平然といられるんだ!!!寂しくないのかよ!!一人でだぞあと何百年の時の中で一人でたった一人できるんだぞ!!!管理者だからとか使命だからとか!俺はっ、俺はそんなの無理だ・・・・・・。」
俺はきっと次目覚めたときこの場所にいない。
この人の隣にはいない。
人間界で目覚めそして己がの使命を果たすためにその世界で生を与えられる。
記憶も無くなって。そんときはきっと何も感じないだろうさ。自分の使命だって忘れているかもしれない。
「けど俺はあんたといたかった・・・・・。」
そうこれが本心俺だけが大切な人の記憶を忘れるなんて嫌だから。
半身でもあるアンタの思い出や存在も消えてしまうから。
「だからであろう。」
何がだ!?
何がだからだ。
「だからってなんだよ!?」
「私が忘れなければいい。ただそれだけの事だ。」
「へ?」
「お前が記憶を無くそうが私が覚えている。それに我らはレムナントであるのだ決して記憶が無くなったとしても完全には忘れはしないだろう。」
「そして私がお前を見つけ出す。必ずだ。」
はっきりとしたもの言いに嘘偽りの無い言葉と断言に俺はもうなにも言えなくなる。
そこまで言われたらさこの不安もなくなってしまう。
馬鹿みたいじゃないか俺がさ。
だからちょっと悔しくて反論をしてみた。
「じゃあさ俺がもしあんたの敵になったら?」
「・・・・・・困るな」
はははっ。まさかの返答に内心笑わずにはいられない。そこまで困った顔をしないでいいだろう。
まあ普段が無表情だから余計新鮮に見えるのだけど。
「そん時はしかたないかもしれないけど。大丈夫って俺もきっとあんたのこと思い出すからさ。」
「確証はあるのか」
「ない!」
「きっぱりと言うものではないだろう」
「でもきっと思い出す。」
だって俺だから。俺のことは俺しか分からないけど。確証なんてないかもしんないけどきっと思い出す。
だってあんたも信じられる言葉をくれるから。
「そうか」
「そうだよ」
「ではお休みのキスでも最後にするか?」
「おう!ってええェェ!?きっキス!?」
ちょっあんたどこでそんな知識を得た。てかあんたの柄じゃないようなって・・・・・
「お休みだ。」
今の俺の状況もお構いなしに触れるだけのキスをされた。
突然のその感触に俺は顔を真っ赤にさせてあたふたしている。
でっでもまあ
うん。
「お休みなさい。」
そう。
きっと
またあえる事を信じて。